関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
14.SAPHO症候群について
奥田 恭章
- 症状と特徴
- SAPHOとは、synovitis(滑膜炎)、acne(にきび)pustulosis(膿庖)、hyperostosis(骨肥厚)、osteitis(骨炎)の頭文字をとったものです。この疾患は、「掌蹠膿疱症」という手のひらや足の裏に無菌性の膿疱(うみをもった皮疹)が生じて慢性の経過をたどる病気を持っている人の約10%に経過中に発症、または体の顔以外の場所に、にきびができてくる人に発症する可能性がある病気です。この疾患では、鎖骨、胸骨を中心とした前胸部の関節に炎症と関節近くの骨病変(骨が炎症をおこし、反応性に太く大きくなる)が現れるのがもっとも大きな特徴です。他に、脊椎の靱帯骨化や仙腸関節炎、膝、足首、手足などにも関節炎を伴うことがあります。日本人に多く、男女比は女性にやや多く、中年を中心とした年代に発症しやすく、60歳以降はまれであることも特徴です。また、喫煙者に多いとされています。
- 治療
- 皮膚症状に対してステロイド薬の外用や免疫抑制剤(シクロスポリン等)が投与されます。前胸部病変に対しては、対処療法として非ステロイド性抗炎症剤を投与します。持続性の関節炎が認められれば、サラゾスルファピリジン、メトトレキサート等の免疫調整剤・抑制剤や経口ステロイド剤にて加療します。
- 注意点
- 喫煙者は禁煙を指導します。掌蹠膿疱症に対する治療法として、扁桃腫大が認められる時に、耳鼻科で扁桃誘発という試験をして、陽性ならば扁桃腺を摘出することもあります。また、金属アレルギーの検査を行って、陽性であれば歯科金属の除去を考えることもあります。前胸部の病変は、痛みがしばらく続くこともありますが、基本的にはその部分が若干隆起するにとどまり、日常生活に不自由を来すことはなく、痛みも消えてゆきます。不安を持たずに過ごすようにしましょう。