関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
13.ベーチェット病について
奥田 恭章
- 症状と特徴
- 口腔内潰瘍(有痛性でいろいろな場所にできる)を初発症状とすることが多く、陰部潰瘍、毛嚢炎、結節性紅斑(下肢伸側に多い)、眼のぶどう膜炎などの皮膚・粘膜症状を中心に生じる症候群です。 これらの皮膚・粘膜・眼症状に加え、長期罹患者の一部の方に、中枢神経、消化管や血管(大動脈から大静脈まで広範囲な血管)に炎症をおこすことがあります(重症病型)。また、関節炎は、約50%の方で起こしますが、数カ所のみで(膝、手首、足関節が多い)、数週間で自然軽快することが多いです。 頻度は特徴的で欧米諸国では非常に頻度が希であるのに対して、地中海から日本にいたるいわゆるシルクロード沿いの国々に発症頻度が高い病気で、10万人あたりの有病率は、日本10~15人、トルコ80~300人、英国0.33人、米国0.12〜0.33人と大きな差が認められます。平均発症年齢は、20~35歳で、男女比は、ほぼ1:1です。病変の組織所見の多くは、白血球の中の好中球という細胞が病変部に多く集まり、強い炎症を起こしているのが特徴です
- 治療
- コルヒチンという好中球の遊走を抑える内服薬がまず用いられます。局所治療は、ステロイドの外用薬で対応することが多いです。眼の症状が十分に抑えられない時は、シクロスポリンやアザチオプリンなどの免疫抑制剤も使用します。中枢神経症状や血管の炎症が強い時にはステロイドと免疫抑制剤を用いて治療を行います。消化器症状には、サラゾスルファピリジンやステロイド剤を用い治療を行います。眼の重篤な繰り返す炎症、消化器の難治性潰瘍等の症状に対しては、近年、生物学的製剤(抗TNF製剤)が用いられ、非常に高い有効性が認められるようになっています。
- 注意点
- 軽症の方でコルヒチンのみでコントロールできる方から、眼、内臓や血管に強い炎症を起こす方までさまざまですが、治療法の進歩により、適切に治療を行うことにより、改善が得られるようになってきています。ストレスは、症状誘発や悪化の原因になりやすいので、できる限りストレスを避けた生活をするように心がけるのが重要です。