理学療法

リウマチのリハビリ治療の考え方

理学療法士は、障害が固定した状態からの機能訓練を担当するのではなく、発症から、全罹病期間を通じて、 医療チームの一員として『疾患の治療』にあたる者でなければなりません。関節リウマチは、慢性、進行性の炎症性疾患であり、 病状も関節病変を中心とするものの多種多様であります。したがって関節リウマチを担当する理学療法士(PT)は、患者さんへの負荷が、 時として病状を増悪させうるということを十分に認識し、他職種との連絡を密にするとともに、患者さんから得られる情報を的確に分析する必要があります。

 

関節リウマチは病気と機能障害が同時に存在する点で、他のリハビリテーション対象疾患と特徴を異にします。運動療法を実施する際には、 常に関節リウマチの活動性に対して関心を持っていなければなりません。可逆性の変化と不可逆性の変化を適切に評価し、 可逆性の変化をなんとか不可逆性にしないような視点と、生活遂行能力をいかに維持・改善することができるかという視点を同時に必要とします。

関節リウマチは滑膜を炎症の場とする疾患であり、骨の破壊のみでなく、軟部組織にも障害が波及します。 軟部組織の中でも腱や靭帯あるいは関節包といった組織の被伸長性は筋に比べて劣っていますから、これらの短縮や癒着は不可逆性の拘縮を招きやすいのです。 また、長期にわたる機能障害によって、間違った筋肉の使い方を身につけてしまうこともあります。 障害の原因と考えられる問題点を骨、軟部組織、骨と軟部組織との連関、 関節リウマチの炎症など多岐にわたって分析し、 必要に応じて解剖学、生理学、運動学などに立ち返ることが大切であります。関節リウマチ患者さんの治療において運動療法が単独で施行されても効果はさほど期待できません。 『治療目標』を設定し、『治療計画』に沿った形でのチームアプローチが必要であります。

外科的治療の施行される患者さんにおいても術前、 術後訓練を独立したものと考えるべきではありません。連続した治療計画の中に、最も効果的と考えられる形で手術、運動療法を組み込むべきであります。 また入院患者さんと外来患者さんでは、運動療法を実施する頻度と連続性が異なるため、当然その内容には違いがあるべきです。入院治療の場合には、 日々連続して理学療法が実施されるため、生体の可逆性変化に対しそれを改善することが目標となります。しかし外来患者さんに対し、 一日の訓練で関節可動域や筋力が増加するとは考えられません。したがって外来治療の場合には、日常生活動作の実行能力や運動機能あるいは関節の状態といったものをチェックし、 タイムリーな自主訓練法や生活指導を行うべきであります。 例えば、関節に炎症所見が認められる症例において安静固定を指示するべきか、 痛みを我慢してでも運動を行うべきか、安静固定が望まれるときにはその期間をどの程度にするかなどの考慮が必要であり、次回の外来受診までの期間設定について 医師と相談することも必要となります。様々な医療技術の進歩の下に、リウマチ治療の手技も各々の部門で進歩しつつあるとはいえ、リウマチ患者さんの経過や、 その将来像については誰も予測しづらいのが現状であります。また局所の炎症所見がどの程度の期間で寛解に至るかということについても推察が難しいのであります。

しかしまったく手がかりがなく、望みがないというわけでもありません。指の変形についていえば、指のMCP関節(指の付け根の関節)の持続的な炎症はスワンネック変形の、 PIP関節(指の先から数えて2番目の関節)のそれはボタンホール変形の原因となりうることや、膝や肘関節の炎症は屈曲拘縮を招くといったことはよく知られています。 組織の異常に気がついたときには、その異常部位やそれに続発する異常などについて熟慮し、不可逆性変化を予防するための手技について検討を行い、 時期を得た対策を立てなければなりません。

終わりに治療においては、患者さんが自ら積極的に参加することが 望まれますが、 リハビリテーション治療においても、このことは極めて重要です。形を問わず日々治療に参加されているのだということを忘れないでいただきたいと願っています。