内科的診療

リウマチと上部消化管の病気  奥田 恭章

上部消化管内視鏡検査のすすめ

図1当院ではリウマチ患者さんに上部消化管の内視鏡検査を積極的に勧めています。 少ししんどい検査をなぜと思われる方がいると思いますが、その理由はリウマチの日常診療で非常に大事な検査だからです。 外来患者さんは症状のある方は随時、無症状の方もできれば1回、入院患者さんは入院時検査として入院後 1週間以内に検査を受けていただくようにお願いしています。以下、その理由と意義について述べたいと思います。

消化器症状のある方の場合

図2胸焼け、腹痛、食欲低下、吐き気などの胃腸症状がある方の場合は、 実際、胃潰瘍やアミロイドーシス(下記で病気の説明をします)などの病気がないかどうかを調べます。正しい診断がつけば、それぞれの病気に応じた適切な薬を処方し、治療することができます。

症状のない方の場合

図3一般成人検診として、早期胃癌などの発見を目的とします。当院でも年間1-2名の方が診断され、 消化器科への紹介により早期の治療がなされています。

症状のでない胃潰瘍、十二指腸潰瘍の診断のために行います。リウマチ患者さんをはじめ、 いわゆる痛み止めを飲んでいる患者さんは、潰瘍があっても症状がでないことがよくあります。 リウマチ患者さんの胃カメラでは約10%の方に潰瘍が認められます (潰瘍の原因は痛み止めがもっとも多く、他にヘリコバクターピロリ菌などがあります)。 潰瘍があっても、約半数の方は無症状ですので(痛み止めをのんでいるため) 十分な注意が必要です。 特に、関節の手術を受けられるかたは術後のストレスで潰瘍の悪化をおこす可能性がありますので、 必ず潰瘍の有無をチェックする必要があります。

アミロイドーシスの診断のために行います。リウマチで慢性の炎症が持続すると、 アミロイドという溶けにくい蛋白が胃腸や腎臓に沈着し、臓器障害をおこすことがあります。 アミロイドは、リウマチの経過が長い方を中心に約5%の方が陽性になります。 できるだけ沈着が少なく、臓器の障害がないか軽いうちに診断し治療することが重要です。 早期に沈着しやすい胃や十二指腸の組織を調べ、診断します。

当院で行う組織検査(生検)の種類と治療について

アミロイドーシスの生検

リウマチ患者さんの場合は、十二指腸の異なる部位から2個、胃から1個を採取し、 アミロイド沈着の有無を調べます。特殊な染色検査を行い、結果は約10日後にわかります。 陽性の場合は、基本的にリウマチの治療を強化して、進行しないようにします。

潰瘍の生検

潰瘍の原因としてヘリコバクターピロリ菌が原因となることがしばしばあります。潰瘍が見つかった場合は、 胃の異なった場所より2個を採取し、この菌の有無を調べます。結果は、検査後、約2時間でわかります。 陽性の場合は、抗生剤による除菌療法(内服1週間)を行い、引き続き抗潰瘍剤の治療を行います。 陰性の場合は痛み止めが原因による潰瘍が大部分を占めます。 痛み止めを中心とする内服薬の調整と潰瘍の治療薬を処方します。 これらの治療により大部分の方は、1-2カ月のうちに潰瘍は治癒します。

ポリープや癌の疑いの生検

胃内にポリープや癌の疑いのある病変があるときは、悪性か良性かを調べるために何個かを採取します (病変の大きさにより数は異なります)。 これらを染色し、病理専門医が診断します。結果は約1週間後にわかります。

カビ(消化管カンジダ症)の検査

図4免疫力が落ちた方の中に舌や食道にカンジダというカビが生え、 胸焼けや腹部不快感を感じることがあります。 白斑が散在しているのでその部分の表面をこすって顕微鏡で見て診断します。 結果は5分くらいでわかり、陽性の方は抗真菌剤のシロップなどで治療します。

リウマチ科・整形外科・内科