内科的診療

リウマチ診療と代替医療~その功罪  高杉 潔

いわゆるサプリメント(代替物)が大流行している。図3新聞にも雑誌にもそのページを繰れば、必ず「健康に良い」と称する品々の広告がワンさと目に付くご時世である。第二次大戦後の食糧難時代を乗り越えていまや飽食の時代の真っ只中にあり、食料自給率 40%を切ろうかという極めて危機的状況下にあるというのに、やたら健康志向ばかりが強い世の中に成り果て、「健康に良い」といううたい文句があれば何にでも飛びつく風潮のなかで、「これらは本当に健康増進に役立つものばかりなのであろうか?」と今一度立ち止まって冷静に考えてみることも無駄ではあるまい。

図3リウマチの領域では、なんといっても「軟骨」が話題の中心であろう。磨り減った軟骨を修復するために「鮫の軟骨」を!という宣伝は飛躍以外の何ものでもないのに毎日のようにこの宣伝が流されている。鮫の軟骨を取れば、それが即人間の軟骨に届いてこれを修復することが出来るという論理の飛躍に誰も気付かないのであろうか? 「鮫」ではなくて、これが「化学物質名」に置き換わると、いささか話しに信憑性が出てきてややこしくなる。 コンドロイチングルコサミンである。いずれも軟骨基質の構成成分で、前者は分子量15,000前後という巨大な物質であって、経口摂取後たかだかその約10数%が変化することなく吸収されるとされてはいるが、図3 これが即関節に到達して軟骨基質の成分に材料として利用されているという証拠は現在のところ全くない。軟骨が冒されてくる代表的な疾患は「変形性関節炎」であって、ことに膝関節がそのターゲットとなるが、その患者さんの「痛み」に対してこれらの物質が有効性を示すかという仕事が沢山なされてきている。きわめて厳重なプロトコールで施行されてきた最近のデータでは、総てが陰性~効果なしという結果である。「そんな代替物に頼るのではなく、関節を動かしている筋肉を鍛えなさい。お膝ではいわゆる“セッティング”運動とよばれている大腿四頭筋の等尺性運動をしっかりとなさい!」と常に呼びかけているが、サプリメントの波に打ち消されて患者さんのハートには声が届きかねているようだ。最近では、抗酸化物資の代表格とも言えるß―カロチン、ビタミンAやビタミンEなどをサプリメントとして経口摂取している人のほうが、そうでない人に比べてその死亡率が高いとするコントロール・スタディの結果も発表されてきている。「良いといわれるものを何でも闇雲に口にすればよろしい」のでは無いことを肝に銘じておきたい。

「健康の源は食にあり」や「医食同源」という言葉は良く知られてきているが、図3案外疎かにされてきているのではないだろうか。農薬や殺虫剤に守られて化学肥料で仕上げされた「美しい」野菜に、満足していないだろうか?サプリメントに手を伸ばす前に、まず己の食事内容についてしっかりと吟味すること、これが健康増進の道への第一歩~王道なのですよ。

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