内科的診療

リウマチと妊娠・出産について  奥田 恭章

妊娠前の準備

まず、それぞれの患者さん毎に病気の状態、活動性、リウマチの治療内容が異なりますので、 主治医に必ず相談し、薬の調整(中止を含め)や指導を受けてから、計画的に妊娠をするのが大切です。 また、さまざまな点で家族の協力が非常に重要ですので、家族の協力体制を確認してください。図1

次に、医師の立場から妊娠前にできるだけ望ましい状態を述べます。

年齢を考慮しましょう

高齢になるほど、リウマチの有無にかかわらず、流産や奇形出産の危険性は高くなります。できるだけ、若いうちに妊娠、出産を計画しましょう。

リウマチのコントロールが良好であることが望ましいです。

計画前に抗リウマチ薬や生物学的製剤を用いできる限り、リウマチ活動性を低下させておくことが重要です。

消炎鎮痛剤はできるだけ減量または中止しておきましょう

妊娠しやすさという点から、痛み止めは胎盤形成においてマイナスの方向に働くとされています。 中止または頓用にしておくことが望ましいです。ただし、催奇形性はほぼ否定的です。図2

リウマチ治療薬と妊娠について

MTX、アラバ、プレディンなどの免疫抑制剤を服用中だった場合は、催奇形性などの点から基本的に中絶を勧めます。海外の報告で、 MTX内服中に妊娠が判明し中止後に、強く出産を希望した患者さんで妊娠を継続した時に、出生児での奇形の頻度は結果的にそれほど高くなかったという報告もありますが、 増加の報告も多く、基本的には中絶を考慮すべきであると思います。他の抗リウマチ剤や生物学的製剤は、妊娠が判明した段階で一度中止を基本とし、妊娠を継続します。

妊娠中の薬物療法

少量のプレドニゾロンは、催奇形性、胎児毒性も否定的なため、妊娠中も継続可能と思われます。図4プレドニゾロンの内服量が多いときは減量を検討します。なお一部の患者さんでは、妊娠中でもリウマチ活動性が上昇することがあり、プレドニゾロンの増加で対応することもあります。ステロイド剤の使用にあたっては胎盤移行の最もすくないプレドニゾロンを使用します(メドロールやリンデロンは胎盤への移行率が高い)。 抗リウマチ薬の中でアザルフィジンENは妊娠中期まではかなり安全とされていますが、後期には胎児黄疸の頻度が上昇するとされており、 妊娠中期には中止します。また、消炎鎮痛剤も妊娠中期までは頓用での使用は可能ですが、後期には胎児毒性が報告されており、 使用しないようにします。シップ剤でもモーラスパップ等は妊娠後期には禁忌となっています。妊娠後期の鎮痛・解熱はアセトアミノフェンが安全とされ、優先的に使用します。エンブレルとシムジアは、臍帯血への移行も非常に少なく、胎児毒性もほとんどないため、 プレドニゾロンと同様に継続使用下での出産が可能と報告されはじめています。

出産後の薬物療法

出産後はリウマチの活動性が上昇することが多く、抗リウマチ薬や生物学的製剤の治療を再開します。 また、コントロールが得られるまで、一時的にプレドニゾロンの内服量を増量する必要があるかもしれません。図5 授乳に関しては、「内服あるいは注射→母の血中に移行→母乳に移行→児の経口→児の消化管からの吸収→児の血中への移行」という過程を経るので、児の血中への移行はほとんど影響がないと思われます。したがって、妊娠判明まで使用可能であった薬剤は再開しながら授乳は可能と考えられています。

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