内科的診療

関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
17.多発性血管炎肉芽腫症について 奥田 恭章

症状と特徴

多発血管炎肉芽腫症は、肉芽腫という病変を伴った全身性の血管炎で、旧名は報告医師の名前のついた「ウェゲナー肉芽腫症」と言われていました。病気の特徴は、病変が(1)鼻・のど・耳、眼(2)肺、(3)腎臓に好んで起こる傾向があり、その他皮膚、神経などにも病変が出現します。かなりまれな疾患で男女比はほぼ1:1、40~60歳代が好発年齢ですが、小児から高齢まで発症の可能性はあります。症状として、(1)上気道 — 軟骨・骨等の組織に肉芽腫を伴う血管炎が生じ、長引く副鼻腔炎、鼻出血、鼻のへこみ(鞍鼻)、中耳炎、かすれ声などから、進行して重症になると鼻中隔穿孔、口蓋潰瘍・穿孔、気道狭窄を生じることもあります。(2)肺 – 血痰、単発性から多発性の結節性病変(空洞形成もしばしばあり)を生じます。(3)腎臓 — 比較的進行期に生じることが多く、腎炎から腎機能低下、腎不全を生じます。腎炎の出現頻度は、発病初期では20%以下ですが、進行期には80%以上に生じます。その他、関節炎、皮下結節や神経炎もしばしば生じます。血液検査では、炎症反応(CRPや赤沈)の上昇、プロテイナーゼ3に対する抗好中球細胞質抗体(PR3 ANCAといいます)が高頻度に上昇するのが特徴です。

治療

血管炎の罹患臓器及び重症度に応じて、ステロイド薬と免疫抑制薬を用い(通常、シクロホスファミドを初期に点滴または内服で使用します)、血管の炎症を完全に消失させる集中療法を行い、その後、その状態を維持する寛解(症状消失)の維持療法を行います(他の免疫抑制剤も使用します)。なお、難治例には生物学的製剤(リツキシマブ)の投与を行うこともあります。寛解後は、ステロイドを減量し、より副作用の弱い免疫抑制薬に切り替えた維持療法を原則として継続します。

生活状の注意

血管炎は、血管に炎症を起こして血管に障害をきたします。これ以上血管に負担をかけないように、喫煙、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化の危険を高ないように生活指導と薬による治療も行う必要があります。ステロイド薬と免疫抑制薬による治療により感染症がおこりやすくなりますので、感染症の予防も大切です。規則正しい生活をして、精神的にも肉体的にもストレスを最小限にする生活を心掛けることが重要です。

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