内科的診療

関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
6. 強皮症  奥田 恭章

症状と特徴

強皮症は、皮膚の硬化が、手指末端から始まり、前腕、顔面、胸部などに広がっていく病気です(足は一般に軽度)。病型のパターンは、皮膚硬化が手指および前腕までにとどまる限局型と全身に拡がっていく全身型とに分けることができます。初期症状として手指全体のむくみ(浮腫)、こわばり感を生じますが、ほとんどの患者さんがレイノー症状(寒冷刺激や緊張時などで血管が収縮し、指の一部が白くなり、紫色(虚血)から紅色(血管拡張)に変化すること)を生じるのが大きな特徴です。また爪の甘皮の不整、延長、小さな黒点(血行障害、血栓)が同時に生じることも特徴です。女性に多く(男女比約1:4)、30歳から50歳代くらいの女性でこれらの症状が出現した時はこの病気を強く疑います。また、関節リウマチと区別がつきにくい関節炎もしばしば生じ、皮膚症状が軽度の初期には鑑別が難しい時があります。この病気の経過は個人差が大きく、軽度の皮膚硬化とレイノー症状だけでずっと経過する人から、内臓の線維化(消化管機能低下—胸焼けや下痢などが多い、間質性肺炎/肺線維症—肺が硬くなり息がしにくくなる)、血管の収縮や線維化(血管病変)からの難治性の皮膚潰瘍や腎不全、肺高血圧(進行期には心不全になります)などを来すなどさまざまです。

治療

個々の患者さんに上記の症状が出てこないかを注意深く観察し、症状に応じて治療することが重要になります。

  1. 浮腫から皮膚硬化早期:経過観察か、ステロイドホルモンを主に使用します。レイノー症状など血管症状には、血管拡張剤を使用します。
  2. 消化器症状:逆流性食道炎—胃酸を強く抑えるプロトンポンプ阻害剤、下痢—整腸剤や抗生剤などで治療します。
  3. 間質性肺炎/肺線維症:活動性に応じてステロイドホルモン及び免疫抑制剤を用います。
  4. 腎機能低下(高血圧を通常伴う)—強皮症腎クリーゼと呼ばれ、腎血管を拡げるACEインヒビターやARBという作用機序の降圧剤で主に治療します。
  5. 難治性皮膚潰瘍:血小板機能抑制剤、血管拡張剤を中心に治療します。
  6. 肺高血圧:種々の新しい血管拡張剤が近年使うことができるようになり、早期治療により近年大きく生命予後の改善が認められます。

注意点

皮膚だけでなく、内臓の種々の病変が生じてくる可能性があります。これらの早期発見は非常に重要で、1.患者さん自身が、病気をよく理解すること、2.これらを早期より発見できる検査がありますので、主治医と相談して定期的にうけること、3.気になる自覚症状は早めに主治医に報告しましょう。また冬期は、皮膚、血管病変が悪化しやすいので、使い捨てカイロなどを用いて、常に保温を心がけましょう。血管収縮をおこすタバコは症状を悪化させるので禁煙を徹底しましょう。皮膚硬化や腱鞘炎、関節炎から指の動きが悪くなり、なにもしないと伸びない、曲がらないという状態になることがありますが、早期よりの積極的なリハビリが有効ですので、主治医、リハビリスタッフに相談してください。

レイノー症状

画像1

指尖潰瘍と指の進展障害(屈曲拘縮)

画像2

爪上皮延長・不整と出血点

画像3
リウマチ科・整形外科・内科