内科的診療

関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
9. 強直性関節炎について 奥田 恭章

症状と特徴

男子に好発する初期は炎症性腰痛疾患で、主に40歳以下の若い人が腰痛を主訴に徐々に発症し、仙腸関節というおしりの左右にある関節に炎症をおこします。安静時、とりわけ朝方に痛みが強く、活動により症状が改善し、休むとまた痛くなるというのが大きな特徴です。始めは、おしりの仙腸関節に対称性に炎症を起こしますが、経過とともに、腰椎、胸椎、頸椎へと上向性に病変が進行し、これらの靱帯の付着部から全体に炎症を起こし、しだいに骨化して(靱帯骨棘といいます)、各脊椎間の関節も骨化してゆく病気です。進行期例では仙腸関節や脊椎が完全につながり強直する(図1、2)ことからこの病名がつけられました。この病気は、脊椎炎が主体ですが、手・足の関節炎(股、膝、足首が多い)もしばしば罹患し(少数関節のことが多い)、指では関節とともに靱帯にも炎症を起こし、特徴的なソーセージ様に指全体が腫れ上がる−指炎−をおこすことがあります(図3)。遺伝的な背景が発症に関与し、北欧やエスキモー、中国などでは、移植医療で知られる「人組織適合抗原」のうちHLA-B27というタイプを持つ人が多く、この病気と深く関わって頻度が高いことがわかっていますが、日本人では、このHLA-B27をもつ人は非常に少ないので、強直性関節炎の罹患率は日本では少ないです。血液検査では、リウマチ因子は通常陰性で、活動期には炎症反応の値(CRPや赤沈など)が上昇します。この病気が疑われた時には、診察、画像評価(MRIなど)、採血(HLA-Bのタイプも調べます)で診断します。

治療

薬物療法として、非ステロイド抗炎症薬、サラゾスルファピリジン、メトトレキサートが症状の程度に応じて使用されます。関節炎が非常に強い時期にはステロイド剤を頓用内服あるいは点滴すると効果的です。また、炎症が持続して強い時は生物学的製剤(抗TNF製剤)を用いることもあります。薬物療法以外では、リハビリも非常に重要で、肩、背部、腰、股関節などのストレッチは重要です。日常生活でストレスを避け、脊椎骨折などに注意しながら治療をきちんと行えれば、就業継続も多くの方で可能で、炎症性関節疾患のなかでも予後のよい病気です。

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図1.進行例:仙腸関節の強直(矢印部)

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図2.進行例:頸椎の前縦靭帯石灰化(→)

椎間関節の強直(←)


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図3.指炎(ソーセージ様腫脹・炎症)
リウマチ科・整形外科・内科