内科的診療

リウマチと呼吸器の病気  奥田 恭章

リウマチは関節の病気ですが、関節外の症状や合併症として呼吸器にも病気が起こることがあります。 リウマチの呼吸器病変について、上気道、下気道、肺、胸膜と順番に解説します。

上気道の病気

声帯輪状披裂関節炎(喉のリウマチに見られた声帯開大不全)

声帯は、輪状軟骨と披裂軟骨という二つの軟骨でできた関節が動くことにより開いたり閉じたりしています。 この小さな関節にリウマチの炎症が起こることがまれにあります。 症状は、喉の異常感、痛み、嗄声、吸気時の呼吸困難などです。 声帯の動きが悪くなった時には息が吸いにくいといった症状がでる場合があります。 全身のリウマチがかなり進行した方(四肢の関節以外に頸椎や顎の関節も障害されている方)に時に認められる病変です。 診断は、喉頭ファイバーで声帯の状態を観察します。 非常にまれですが喉のリウマチが進行した方は、耳鼻科的治療(声帯の形成手術)が必要になることがあります。

睡眠時無呼吸症候群

顎関節に関節炎が持続し、開口障害や小顎症になった方は下顎が後退し上気道が狭くなっています。 このような患者さんが睡眠時の大きないびき、日中の傾眠傾向があれば寝ている時の呼吸状態をよく観察してもらっていただ きたいと思います。無呼吸の頻度が多く、持続時間が長い時は要注意です。 特に循環器疾患(狭心症、不整脈、高血圧など)のある患者さんは、睡眠時無呼吸症候群の専門医を紹介してもらい、 診断、治療を受けることが重要です。 専門医では、睡眠中の呼吸状態や酸素濃度を評価します。 治療は、nasal CPAPという呼吸補助装置(睡眠中にマスクをつけて鼻から陽圧の空気を送り込みます)を使ったり、 気道が広がるようなマウスピースを歯科口腔外科で作ってもらうなどして治療を行います。 治療により、いびき、日中の傾眠傾向、循環器疾患が改善されます。

下気道の病気

気管支拡張症・慢性気管支炎・細気管支炎

リウマチの方は一般の方にくらべて、これらの下気道の病気を持っている方が多いようです。 症状は、慢性に咳や痰が持続します。 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に以前かかったことがあるとか、今もっている方に、よくこれらの病気が起こります。 また、たばこは下気道の病気をはじめとする呼吸器疾患を悪化、進行させるとともに、リウマチ自体にもよくないと報告されていますので禁煙は必須です。 治療は、基本療法として去痰剤や気管支拡張剤の使用、呼吸器リハビリを行います。また、 エリスロマイシンやクラリスロマイシンなどの副作用が少ない抗生物質は、長期間、少量飲むことにより下気道にじっくりと働き咳や痰を減らす効果があり、しばしば用いられる治療薬です。

肺の病気

リウマチによる間質性肺炎・肺線維症(自己免疫)

肺が線維化をおこして、だんだん硬くなる病気です。 リウマチや膠原病の方に多く見られます。症状は空咳や息切れです。 臨床経過からふたつのタイプがあります。 ひとつは非常にゆっくり進行するタイプで、大部分の方がこのタイプです。 このタイプの場合、肺線維症はあるけども一生これによる問題は起こらないことが多いです。 一方、少ないですが比較的早く進行するタイプがあり、臨床症状、レントゲン、CT、 血液検査などからこちらのタイプと診断された方は進行を止めるためにステロイド剤や免疫抑制剤による治療が必要です。

薬剤による間質性肺炎

リウマチの治療薬でも頻度は少ないですが間質性肺炎を起こすことがあります。メトトレキサート(リウマトレックスなど)、アラバ、シオゾール、リマチル、生物学的製剤などで治療中の方は、空咳や息切れなどが生じたら、すぐに主治医に連絡し、検査を受けてください。 もし、間質性肺炎を起こしているようなら、原因薬剤を中止し、ステロイド剤などを投与して治療を行います。

病原微生物による肺炎・間質性肺炎

リウマチの経過中に細菌やウイルス、真菌などによる肺炎や間質性肺炎も時に見られることがあります。 もともとリウマチによる肺線維症や下気道の病気がある方、頸椎障害や開口障害がある方、上肢の不自由な方、リウマチの勢いを抑えるための 薬による免疫抑制が強く抵抗力が落ちている方などが罹りやすいので注意が必要です。 治療は、病状に応じて抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤などを投与します。 感染症は早期発見、早期治療が重要ですから、咳、痰、息切れ、発熱が新たに生じた時はすぐに受診するようにしましょう。 病原微生物による間質性肺炎(ニューモシスチス肺炎)右の胸部CTでは、黒い肺の中に地図状に白くなっている部分が間質性肺炎である。

胸膜の病気

肺をおおう膜に炎症が起こり、肺の外に水が溜まる病気です。 大量に溜まると胸痛や呼吸困難が起こります。 胸膜炎はリウマチの経過中にかなりの頻度(2~3人に1人)で起こりますが、大部分の方は溜まる水の量は少量で症状がでないことが多いです。 胸膜炎の程度が強く、たくさん溜まった時は胸腔穿刺(胸に溜まった水を抜く)やステロイド剤による治療を行います。

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