内科的診療

関節リウマチ以外の重要なリウマチ性疾患
16.顕微鏡的多発血管炎について 奥田 恭章

症状と特徴

顕微鏡的多発血管炎は、顕微鏡でないと観察できない太さの血管に炎症を起こす病気です(図1)。特に腎臓や肺、皮膚、末梢神経等の血管に炎症を生じるのが特徴です。これらの血管に炎症を起こすと、臓器の炎症や、その結果としての梗塞や出血が生じ、臓器の機能が低下してしまいます。特に、腎臓や肺など内臓臓器の血管に起こると、重症になる可能性の高い病気です。一般に60歳以上の高齢者に多く発症し、女性にやや多い疾患です。この病気の原因は不明ですが、好中球(白血球の一つ)の細胞質に含まれる酵素タンパク質であるミエロペルオキダーゼ(MPO)に対する自己抗体(抗好中球細胞質抗体;ANCA)が高率に検出され、このANCAが小型血管の炎症の中心となって関わっていることが明らかとなっています。 症状は全身症状として、発熱、倦怠感、体重減少を生じます。腎障害を来した方は、血尿、蛋白尿などの尿検査異常、腎機能低下を来たし、足の浮腫などを生じます。肺の症状としては、血痰、空咳、息切れを生じ、検査ではレントゲンやCT検査で間質性肺炎、肺線維症、異常浸潤影などを指摘されることもあります。他に皮膚症状として皮下出血、皮膚潰瘍(図2)、神経症状として、手足のしびれ、感覚障害、脱力また、関節痛や筋痛も生じることがあります。診断は、症状を認めている臓器の一部の組織を取り、顕微鏡で病理組織学診断するのが原則です(血管炎の組織像での証明)。採血では、炎症反応の上昇とともに上記のANCAという抗体を測定し、確定診断します。

(図1) (図2)

治療

血管炎の罹患臓器及び重症度に応じて、ステロイド薬や免疫抑制薬を用い(臨床症状、ANCAや炎症反応の値を指標にします)、血管の炎症を完全に消失させる集中療法を行い、その後、その状態を維持する寛解(症状消失)の維持療法を行います。特に、生命に危険が及ぶ可能性のある場合には、大量の副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の投与が必要となります。診断後速やかに治療が開始され、症状が改善すれば約3~6か月で寛解に至ることが期待できます。寛解後は、ステロイドを減量し、より副作用の弱い免疫抑制薬に切り替えた維持療法を原則として少なくとも数年間は継続します。

生活上の注意

血管炎は、血管に炎症を起こして血管に障害をきたします。これ以上血管に負担をかけないように、喫煙、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化の危険を高ないように生活指導と薬による治療も行う必要があります。ステロイド薬と免疫抑制薬による治療により感染症がおこりやすくなりますので、感染症の予防も大切です。規則正しい生活をして、精神的にも肉体的にもストレスを最小限にする生活を心掛けることが重要です。

リウマチ科・整形外科・内科