内科的診療

関節リウマチとアミロイドーシスについて  奥田 恭章

はじめに

リウマチの関節外症状・合併症には、貧血、間質性肺炎などとともに代表的な合併症としてアミロイドーシスという病気があります。

1.アミロイドーシスの頻度

当院ではこれまで395人(6-7%)の方がアミロイドーシスと診断され、現在入院中も患者さんでは、関節リウマチ156人中31人(約20%)の方が合併しています。

2.リウマチの死因調査(病理診断)

リウマチの死因の第1位は感染症、第2位は肺疾患、第3位はアミロイドーシスで重篤になりやすい死に至ることのある合併症ですので、この病気についてしっかり理解しておくことが大切です。

3.アミロイドーシスとは

消化管や腎臓などの臓器にアミロイドという異常蛋白が沈着して、臓器の機能低下や障害を起こす病気です。沈着の程度が少ないと症状はでませんが、沈着が多くなるにしたがって臓器を圧迫して症状がはっきりとでてくるようになります。 リウマチに合併するアミロイドーシスは二次性アミロイドーシスといって慢性の炎症をおこす病気(原疾患)に生じるものです。昔は結核が原因の第一位だったのですが、抗菌薬の進歩により減少し、現在は、関節リウマチが原疾患の第一位となっています。 画像1画像2

4.リウマチにアミロイドーシスがなぜ合併するのか

リウマチでは病気の勢いに比例して炎症反応物質が血液中に作られます。CRPがもっとも代表的なものでみなさんの多くが知っていると思いますが、SAAという炎症反応物質も同時に作られます。 このSAAというたんぱく質がアミロイドーシスの原因となる物質です。SAAは、正常な状態ではばらばらに分解されて排出されますが、長期間、慢性に高濃度で血中に存在すると、 分解能力が低下することがあり(個人差はあります)、分解途中のAAという溶けにくいタンパク質が臓器に沈着してアミロイドーシスを発症します。 つまり、リウマチのコントロールの悪い患者さんの一部に発症することになります。

5.アミロイドーシスの症状

主な症状は、消化器症状と腎症状です。これは消化管と腎臓に沈着しやすいためです。消化器症状として、嘔気・嘔吐、食欲低下、交替制便通異常(下痢と便秘を繰り返す)、 長期間続く下痢、麻痺性腸閉塞(腸がほとんど動かなくなる)、下血などがあります。腎症状としては、蛋白尿、血尿、腎機能低下、腎不全などがあります。その他、進行期には、心臓に沈着して、不整脈や心不全、 甲状腺に沈着して甲状腺機能低下症なども生じます。

6.アミロイドーシスの診断

アミロイドの沈着が疑われる組織のごく一部を取り(生検といいます)、組織を特殊染色し、顕微鏡で確認し診断します。胃・十二指腸生検が、陽性率が高く、主な標的臓器(症状のでる臓器)ですので、生検部位としてもっとも適しています。

7.アミロイドーシスの治療

①早期診断がまず重要で、上部消化管内視鏡検査を定期的に受けられることをお勧めします。早期診断ができた患者さんと進行期に診断した患者さんの長期間の生命予後を調査しましたところ、大きな差があることがわかりました。 ②リウマチのコントロールをしっかり行うことがきわめて重要です。免疫調整剤、抑制剤やステロイドを用い、それでもコントロールが不十分な時は、生物学的製剤(アクテムラ、レミケード、エンブレル、ヒュミラ)を使い、 (アミロイドのもと)をしっかりと下げることを目指します。 ③補助的にアミロイド凝集を抑え、溶解度を高めるとされるDMSOという液体をガーゼに浸みこませて、時間貼るという治療も行っていますが、アミロイドが溶ける量は限られており、あくまで補助的な治療です。 ④臓器の症状がでてきた場合は、それに応じた治療を行います。たとえば、体重がどんどん減っていき、嘔気・嘔吐で食べられず、難治性の下痢や麻痺性の腸閉塞が生じている時は、しばらく絶食して、腸管を安静にし、 高カロリー輸液の点滴で水分と栄養を補い、ステロイドの点滴注射などで腸管の炎症を抑え、SAAをしっかり下げて、機能回復を待ちます。また、腎機能が低下している時は、減塩、低たんぱく質の食事療法、 厳格な血圧のコントロールが必要になります。腎不全が進行して、体の老廃物や水は排出できなくなった時は、血液透析や腹膜透析が必要になります。 画像3

8.アミロイドーシスの今後

リウマチの治療法の進歩とアミロイドーシスの早期診断により、アミロイドーシスの患者さんの数は減少傾向にあり、リウマチ発症からアミロイドーシス発症までの期間も依然より長くなってきています。 また、臓器障害がでている患者さんでもアクテムラをはじめとする生物学的製剤の治療で回復する方々を経験するようになってきました。アミロイドーシスの診断を受けた方は病気をしっかり理解し、 我々医療スタッフとともにしっかり立ち向かっていきましょう。

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